『 bonbonが好き』から始まった旅
第五章|こだわりと本質
徳島と高知で出会ったワクワク感を胸に、エプロン作りが始まりました。
まず最初に決めるのは、生地。
どうしてもヘンプ100%にこだわりたかった。
環境に優しく、土に還る素材。それでいて丈夫。
bonbonの空間そのものがかっこよくて
エネルギーが宿っているように
佇まいと雰囲気に惹きつけられるエプロン。
そんなイメージに近づきたいと考えていました。
しかし、化繊が主流の現代において
これだ!と思えるヘンプ100%の生地を探すのは
容易なことではありませんでした。
まず流通している数が少ない。
黒川さんに何度も生地サンプルを探してもらい
送ってもらい、確認する、その繰り返しでした。
「もう少し厚めがいいな。」
そう思った生地が廃盤になってしまったり...
手のひらサイズの生地サンプルでは想像できないので
「1〜2メートルサイズの生地で見たいです!」
とお願いしました。
そして、その生地が届き、手にした瞬間、
「これだ!これがいい!」
自然と二人声がそろいました。
しなやかで、優しい雰囲気。
触るとたくましさと丈夫さが伝わる、そんな生地。
黒川さんの尽力のおかげで、ようやく、これだ!と思える生地に出会えたのです。
次に取りかかったのがエプロンの仕様。
これはまた考えるのは楽しいのですが
カタチにするのが難しい。
今bonbonで着ているエプロンの困っていること、こうだったらいいなをスタッフみんなに聞き、書き出していきました。
ポケットは粉が入りやすいから、かぶせがあったらいいな。
スリットは深めが動きやすい。
金具もアクセントでほしいな。
そんな「あったらいいな」をたくさん詰め込んで
イラストにし、みちおさんと黒川さんに提案しました。
「bonbonのオリジナリティを出したいんです!」
するとみちおさんは、
「エスプレッソで染色する時点で
だいぶオリジナリティはあると思いますよ。
ポケットやスタッズをたくさん付けることで
機能性はあがるかもしれないけれど
印象はどうなんだろう?
どこに重きを置くかが大事ですね。」
みちおさんはいつもと変わらず確信をついてくる。
私たちの「あったらいいな」をたくさん詰め込みすぎて
本来大切にしたいところが見えなくなっていました。
あれもこれもと思い、たくさんの荷物を背負ってしまう。
今ここではないものは、ひとつづつそっと置いて、
本来自分が大切にしたいものを見つめ直す。
私たちの大切にしたいこと。それは、
身につけた時の心地よさ
背筋がすっと伸びたり
スキップしたくなるような
そんな気持ちになれるエプロン。
エスプレッソの染色と素敵なヘンプの生地があるのだから、シンプルで良いのではないか。
ありのままの自分を好きでいれるように。
数ヶ月間、ミーティングとサンプル作りを何度も繰り返し、ようやく私たちが求めるカタチに辿り着きました。
最終章|染まる想い ー bonbon color ー へつづく